今朝トイレで新聞を読んでいるとき、最後にテレビ欄を眺めていたら、なんと午後7時半からのNHK「クローズアップ現代」で大好きな詩人吉野弘さんが取り上げられるのに気が付きました
拙ブログでもたびたび紹介している「祝婚歌」はかなり知られていると思いますが、そのほかにも素敵な詩がたくさんあります
ということで、今日は久し振りに詩集を手に取り、吉野弘さんの詩の世界に浸っておりました
番組を見て、30分じゃ時間が足りない、2時間ぐらいやればいいのになって勝手に思っていました
そんな今日は、昨年生まれた知人のお子さんの誕生日
誕生祝い代わりに好きな詩の一つを贈ります
生命は
生命は
自分自身だけでは完結できないように
つくられているらしい
花も
めしべとおしべが揃っているだけでは
不充分で
虫や風が訪れて
めしべとおしべを仲立ちする
生命は
その中に欠如を抱(いだ)き
それを他者から満たしてもらうのだ
世界は多分
他者の総和
しかし
互いに
欠如を満たすなどとは
知りもせず
知らされもせず
ばらまかれている者同士
無関心でいられる間柄
ときに
うとましく思うことさえも許されている間柄
そのように
世界がゆるやかに構成されているのは
なぜ?
花が咲いている
すぐ近くまで
虻(あぶ)の姿をした他者が
光をまとって飛んできている
私も あるとき
誰かのための虻だったろう
あなたも あるとき
私のための風だったかもしれない